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基準生産計画(Master Production Schedule)
名称バリエーション
- 英語
- Master Production Schedule
- 漢字
- 基準生産計画
品質 / 更新日 / COI
- 品質
- Reviewed
- 更新日
- 出典
- 出典・信頼
- COI
- none
TL;DR
基準生産計画(MPS)は、需要計画を「何を、いつ、どれだけ作るか」という実行可能なコミットに落とし、能力制約の中で生産優先度と納期約束を安定させるための時系列計画である。
1行定義
基準生産計画(MPS: Master Production Schedule)は、完成品(または最終品目)について、一定期間の生産数量とタイミングを定める詳細なスケジュールである。需要予測や受注情報と、能力、リードタイム、在庫方針を突き合わせ、実行可能な生産コミットとして固定する。MPSはMRPなどの詳細計画の入力となり、頻繁な計画変更(スケジュールチャーン)を抑えつつ、例外ルールの下で必要な変更だけを取り込むのが望ましい。良いMPSは、現場を振り回さずに応答性を確保し、納期と在庫とコストのバランスを改善する。
意思決定インパクト
- 生産優先度の判断で、需要を能力へ接続し、現場の方針を安定させて特急対応を減らせる。
- 在庫方針の決定で、作るべきものと積むべきものを区別でき、欠品と資金拘束の両方を抑えられる。
- 納期約束の精度が上がり、制約とリードタイムが一つの計画で見えるため、無理な約束が減る。
要点
- 凍結期間と柔軟期間を分ける。安定性が上がると現場の混乱と特急費用が下がる。
- 能力と整合させる。実行不可能な計画は、無い計画より害が大きい。
- 変更ルールを持つ。無制限の組み替えはサプライチェーン全体にチャーンを広げる。
- 在庫方針とサービス水準に整合させる。可用性とキャッシュのバランスを計画へ反映する。
- 遵守率を測る。計画と実績が乖離するなら、前提や現場のボトルネックを修正する。
誤解
- MPSは需要を保証する魔法ではない。現時点の前提と制約に基づくコミットである。
- 変更頻度が高いほど良いわけではない。頻繁な組み替えはスループットと信頼性を落とす。
- オペだけの道具ではない。営業の約束と財務目標もMPSと整合して初めて意味がある。
最小例
受注が週次で大きく振れるメーカーが、MPS無しで日々の優先度が変わり、特急費用が増えていた。そこで週次MPSを導入し、2週間は凍結期間として原則変更しないルールを置く。予測と確定受注を入力し、主要設備の粗能力チェック(RCCP)でボトルネックを確認した上で、完成品A/Bの週次数量をコミットする。凍結期間内で大口注文が入った場合は例外扱いとし、既存顧客の出荷を押しのける変更は経営承認が必要と定める。併せて、凍結期間外(柔軟期間)では代替品や前倒し生産などの選択肢を用意し、現場が動ける手を先に作った。さらにMPSからATP(Available-to-Promise)を算出し、営業が約束可能な数量と日付を同じ前提で判断できるようにした。1か月後、計画遵守率が上がり、欠品とバックオーダーが減り、制約が見えることで現実的な納期約束ができるようになった。
出典・信頼
- Principles of Management(OpenStax)